ストーリー

2014年、ハリウッドは、俳優の絶頂期の容姿をスキャンし、そのデジタルデータを自由に使い映画をつくるというビジネスを発明した。すでにキアヌ・リーブスらが契約書にサインしたという。40歳を過ぎたロビン・ライトにも声がかかった。はじめは笑い飛ばした彼女だったが、旬を過ぎて女優の仕事が激減し、シングルマザーとして難病をかかえる息子を養わなければならない現実があった。悩んだすえ、巨額のギャラと引き換えに20年間の契約で自身のデータを売り渡した。スクリーンでは若いままのロビンのデータが、出演を拒んできたSFアクション映画のヒロインを演じ続けた――そして20年後、文明はさらなる進歩を加速させていた。ロビンはある決意を胸に、驚愕のパラダイスと化したハリウッドに再び乗り込む。

ロビン・ライト

『プリンセス・ブライド・ストーリー』や『フォレスト・ガンプ/一期一会』のような作品でスターとなり、20代にして将来を約束されたアメリカ人女優。ミラマウント・スタジオから、映画女優としての「ロビン・ライト」独占所有権を取得し、30代の若さを保つ3DCG キャラクターとなった彼女を使って映画を製作し続ける、というオファーを受ける。引き換えにロビン本人は、世界中のいかなる場でも女優活動が禁じられることになる。20年後、60代の名もなき老女となったロビンは、ミラマウント社がCGで生み出し、いまや崇拝される偶像と化した映画のキャラクターと対面する。ロビンはここでミラマウント社からさらなる契約の改定をもちかけられる。それは、もはやCGの映像ではなく、誰もが服用できる薬剤のかたちをした化学式へと移行するというものだった。

アーロン・ライト

聴力と視力が徐々に失われていく難病、アッシャー症候群であるロビンの息子。自らをライト兄弟の後継者とするアーロンは、なにかに衝き動かされるように巨大な凧を造り続ける。彼は凧を本物の旅客機に衝突させることを夢見ており、その日が来れば自分の状況も改善すると信じている。病は母ロビンに女優としてのキャリアを諦めさせ、一家はカリフォルニアの広大な空港の近くにある、人里離れた人工的な土地に住むことを余儀なくされる。

ジェフ・グリーン

ハリウッドの大手映画製作会社ミラマウント・スタジオCEO。冷酷で皮肉屋、あくどいが恐ろしく頭の切れる金の亡者。自身のアイデンティティと魂を会社に売り渡す契約にサインするようロビン・ライトを誘導するのは、この役員の仕業である。20年後、化学薬品を使った娯楽の提供へとミラマウント社の方針を転換したことに伴い、ジェフは夢のなかで、また現実世界でもロビンの前に再び現れ、薬品の摂取で誰もが彼女自身を得られるようになる、新たな契約を迫ることになる。

ディラン・トゥルーリナー

ミラマウント社でロビン・ライトのCG制作を担当するアニメーター。「ロビン部」の部長であり、20年間もCGの映像を操作してロビン主演のドル箱SFシリーズ『エージェントR』を製作し続けている。自身の創作物でもあるこのロビンというキャラクターを愛するようになっていたディランは、ミラマウント・ナガサキの生み出した化学薬品によるカオス的世界で、彼女の命を救おうとする。

アル

ロビンの代理人。昔気質で老いを迎えつつあるこの男は、ロビンとは25年来いかなるときも傍にいた仲である。代理人であり、親友であり、父親のいない彼女にはその代わりも務めていたが、いつしか彼女を密かに愛するようにもなっていた。彼はまた、スタジオにロビンの分身を売却することによって、彼女を幻覚の世界へと導くことになる。